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 内戦が激化し、ミャンマーの情勢は混迷を深めているが、日本や東南アジア諸国連合(ASEAN)、欧米諸国もその行方に深く関わることができずにいる。その中で、関与を一気に強めてきたのが中国だ。ミャンマーとの「関係性」を印象づけるやりとりが昨年11月、ミンアウンフライン国軍最高司令官の初の訪中の場で見られた。

内戦下のミャンマー情勢が混迷の度を深めています。2021年のクーデターで全権を握った国軍は弱体化し、武装勢力が支配地を拡大。国際社会の関心低下のなか、中国が影響力を強めています。現地から伝えます。

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 会談の場で中国の李強(リーチアン)首相は、ミャンマー国軍が今年予定する総選挙について「成功を助ける」と述べた。ミンアウンフライン氏は、こう応じてみせた。「鉄道事業を可能な場所から始める」

 「鉄道事業」は中国の対ミャンマー戦略の核心の一つだ。雲南省昆明からミャンマー第2の都市マンダレーに至る新鉄道を計画している。独立系シンクタンク・ISPミャンマーによると、ミャンマー側の長さは約400キロ、総工費は89億ドル(約1・4兆円)に上るという。

 マンダレーから西部ラカイン州まで結ぶ延伸計画もあり、終着地の同州チャウピューでは中国主導で深海港の建設計画も進む。新鉄道と港は「中国・ミャンマー経済回廊(CMEC)」の一環で、中国はインド洋と中国内陸部を陸路でつなぐ物流インフラ網の構想を抱いてきた。

写真・図版
中国がミャンマーで計画する鉄道事業

 ところが、事業は2021年2月の国軍のクーデターと内戦の影響で完全に停滞。鉄道敷設予定地でも戦闘が激化し、中国が敷いたガスパイプラインも被害に遭った。

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 その鉄道計画の要所、マンダレー郊外のパレイを昨年訪れた。

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